適正化への道 最悪の状態から始めるとき

昨年、当事業所が所在する地域で運送会社の放火事件がありました。犯人はすぐにみつかり逮捕。元従業員であった犯人が放火をした理由には在籍時の怨恨が考えられています。
火事があった会社を検索してみると、過去には行政処分を受けている会社でした。(定かではありませんが過去2回、行政処分を受けていると思われます)
運送会社に課せられた【適正化】が十分に行われていない場合は行政処分を受けることにつながり車両を動かすことができなくなる可能性を持っています。
行政処分に至る背景に、内部や外部からの情報による調査が発端になることが多くあります。その会社の現在はどのような状況かわかりませんが、処分を受けた時点の環境から憶測すると社員への処遇に偏りや不適切なところがあったのかもしれないと思えてなりません。
許可事業にもかかわらず【適正化】に前向きではない運送会社は就業面への配慮にも前向きではない可能性が高いと憶測してしまいます。
今回、【適正化】というものについてお話を進めていきます。
適正化への取組み
格段の差がある適正化レベル
【適正化】について本当に熱心に取り組みしている会社と、まったくそうではない会社があります。この二社の質には格段の差があります。
学習塾を経営していましたので偏差値で考えてしまいますが、この二社を偏差値で表すと熱心なところは偏差値70を超えるハイレベル。まったくそうではないところは、40以下、時には30をも下回るのではないかというレベルの会社があります。

以前、ヘルプに入った会社は、絶望的に低レベルな会社でした。
点呼の気配はまったくなく、実態の伴わない手作りの帳票が歯抜け状態で散乱、運行関係も営業関係も経理会計関係も関係なく、あらゆる帳票資料が机の上に山積みになっている事務所。就業関係の問題も多々あり社員の給料問題などは頻繁におきていました。
社長は運行管理者資格を持っておらず、何をどのようにしたら良いかわからない、巡回時は指導項目だらけでそのまま手つかず。そして実務を知らない資格だけの運行管理者は、外部からの密告による、支局の調査直前に逃げ出し、それも発覚、

許可取消寸前の状況。
そのような会社は、たとえ適正化への取組みを始めたとしても、到底、改善できるとは思えないほど悲惨な現場が日々の現実なのです。
適正化への取組み【必要期間】
社長自身が改善に取り組みする気持ちがなければ、現場が適正化していくわけがありません。
でもしかし、運送会社の【適正化】は、意外と短期間でできます。社長自身に改善に取り組みする気持ちが本当にあれば、それほど難易度は高くありません。
さすがに偏差値70越えというわけにはいきませんが、50~60後半くらいまでならば、約半年くらいの取組みで達することができます。実際に前述の会社は行政処分を受けてから9カ月後の改善報告で「間違いなく地域トップクラス」という評価を支局からいただきました。

適正化への取組みは、突き詰めれば、果てしなく高度で洗練したものにしていくことができる課題ですが、偏差値があまり高くない地方のトップ校合格レベルを目標とするのであれば、その会社の状況にもよりますが、それほど難易度は高くない課題といえます。
現場が先か帳票が先か
適正化への取組みを真面目に考えたときに、現場が先か帳票が先かと悩むことがあるかもしれません。
現場に実態がないのに帳票を整えていくことに意味を感じないかもしれないからです。
確かに現場が大切です。
立派に整った帳票が作られたり高価なシステムが導入されたりしていても、現場に相応の実態がなければ、本当の価値がないのは確かです。
でも、現在が悲惨な状況というところからスタートするのであれば、「帳票から始める」を割り切って選択することをお勧めします。
その理由は二つあります。
ひとつは「評価は帳票でなされる」からです。
評価をする支局の人や巡回員の人は、帳票資料やデジタル入力されているデータをみて評価します。
朝早く会社に来て、点呼や点検の現場をみたり、計画にある研修の現場を見に来たりすることは、めったにありません。
しかも「いついつに行きます」というように、評価を受ける日も、ほとんどの場合は決まっています。抜き打ち調査をすることはめったなことではありません。
そして見るものは「記録」という帳票であり、活動そのものではないのです。
適正化に取り組みをする担当者の努力には物理的限界があります。少しでも効果と結果を合理的に求めるために「帳票を整える」を優先にする。
もうひとつの理由は「帳票は服や言葉遣いと同じ」だからです。
どんなに人柄がよい人でも、ちゃらんぽらんの格好で荒々しい言葉遣いをしていると良い人には見られないことがあります。人は見た目で判断されることが多いのです。
実は中身はいい加減でも、見た目や言葉遣いを良くすれば、「しっかりした人」というように見られることが多々あります。
幼児向けの漫画などでは泥棒の格好をした泥棒が登場することがありますが、実際の泥棒は泥棒の格好をしていません。
いままでは、許可にふさわしい行動をしていない現場があって、帳票もまったく整っていないという、泥棒の格好をした泥棒の事業所だったので、簡単に不正が見つかってしまう状況だったのです。
これからは「先ず服装から言葉遣いから」ということで、形から入る選択をする。
外見を整えて、本当は怪しいところがメチャクチャあるけれど、すぐにはバレないようにする気遣いを、していくことです。
泥棒の格好をした泥棒は、すぐに不正を押さえて捕まえなければなりません。

しかし少なくとも格好だけでも「何とかしよう」という姿勢があれば、不正を見つけ出し捕まえるということよりも【不正を見つけたら指導する】に変わっていくものです。

指導を沢山もらって、それを一つずつ解決して行くことで、適正化はどんどん進んでいきます。
それに伴い、現場の改善が実態として行われていく方向性を見出すことができるようになります。すぐにできるとこはすぐに、そうでないところは半歩ずつ。現場は管理者の姿勢の変化に応じて変化します。
現場の変化は後からついてくるという選択のほうが合理的です。
適正化に取り組みをする担当者の努力には物理的限界があります。少しでも効果と結果を合理的に求めるために、上記、二つの理由から「帳票を整える」を優先にすることをお勧めします。
そして先ほど、指導を沢山もらって、それを一つずつ解決して行くと言いましたが、指導をもらわずに、適合性を認められるようにすることができます。
次はその方法についてお話をいたします。


