トラックドライバー不足解消のポイント
トラックドライバー不足解消のポイント
〇不足数を把握する
〇不足要因を可視化する
〇目標(あるべき姿)を決める
〇全体構成を決めてから点を決める
ざっと書いてみましたが、特に重要なのは目標と全体構成です。
常にドライバー不足に悩まされている事業所では、ドライバー不足の対策を常に点で考えていること、そして目標があいまいであったり、間違った目標を立ててしまったりしているようにみえます。
【トラックドライバー不足解消のポイント】について説明していく前に、なぜドライバー不足が起きているのかを考えてみたいと思います。
ドライバーが不足する原因を考えて対処を考えることで、【トラックドライバー不足解消のポイント】の説明が活きてくることでしょう。
なぜ間違いだらけのトラックドライバー募集をするのか(その1)
年がら年中ドライバー不足に悩まされている運送会社の事業所で行われているドライバー募集の方法は間違いだらけ
ケース1
配車を担当する運行管理者が営業所の所長に言います「ドライバーがいないので配車ができなくて困っています」、そこで所長が「どこのコースが足りない」か聞き、それなら募集しようかということになります。
ケース2
配車を担当する運行管理者が営業所の所長に言います「ドライバーがいないので配車ができなくて困っています」、そこで所長が答えます、「募集しているんだけど応募がこないんだよ」
年がら年中ドライバーが不足している運送会社では、ケース1とケース2のような会話が日常的に行われていることでしょう。
ドライバー不足が起きる一番の原因
年がら年中ドライバー不足に悩まされる運送会社の事業所で、ドライバーが不足している一番の原因
ドライバーが不足する一番の原因は何か。
年がら年中ドライバー不足に悩まされる運送会社の事業所で、ドライバーが不足する一番多い原因があります。
その原因を理解していないこともあるかもしれませんが、本当はその原因を理解していても、改善行動に移すことができない場合のほうが多いのかもしれません。
運送業は労働集約型の業種と聞くことがあると思いますが、数字で考えてみます。
全日本トラック協会の調査報告、国土交通省資料などから、運送会社の売上に対する人件比率は4割前後であり、日本政策信用金庫調査では、道路貨物運送業全体で24.5%~40.8%、一般貨物運送業で34.4%~40.7%。
別資料によると黒字企業の平均人件費率は35.5%とのことです。


「人件費率」や「労働分配率」がどのくらいから「労働集約型」といえる分岐なのか、わかりませんが、運送会社の人件費対売上高比率は、おおよそ30数パーセントから40%くらいが多いのは確かなようです。
指標として適性な人件費率や労働分配率は事業所によって違い、常に検討していく必要があります。
想定している人件費率を超えると赤字になる可能性が高いと考え、ドライバーは足りないけれど増やしたくないという気持ちが働いて「人件費を増やしたくない」≒「ドライバーを増やしたくない」という感情を持つことにつながるのは自然なことだと思います。
ドライバーが年がら年中不足する一番の原因は「ドライバーを増やしたくない」という感情
ドライバー不足の一番の原因は、「人件費を増やしたくない」≒「ドライバーを増やしたくない」という感情です。
感情の行動への影響が強くなれば、ドライバー不足によって起きる問題の解決よりも人件費を上げる恐怖への対応が優先されていきます。
そして、ケース1とケース2の会話が状態的に行われる事業所であり続けることでしょう。
赤字になる想定ならば人件費率は上げても下げても赤字になる
人件費率を上げると赤字になる可能性が高くなり下げることにより労働環境や稼働率への影響を及ぼし健全な経済活動ができなくなることで赤字になる可能性が高くなると考えてみます。
「赤字になる」という恐怖によって生み出された感情で考えた思考であるならば、人件費率は上げても下げても赤字になります。
もしかしたら状態的にドライバー不足の事業所では「適正人件費率」を考えたことがないかもしれません。
できる限り「適正人件費率」を算出、その数字よりも大きい場合は、人件費が多いことによる利益への圧迫が大きくなり、小さい場合はそれにより利益が大きくなったとしても労働環境への悪影響が大きくなるというバランスを考えることができるようになります。
そして人件比率の数字が小さい時は、売上アップの可能性は小さく、人件費率の数字が大きいときは、売上アップの可能性は高くなります。
ドライバー不足により稼働率が低迷し売上げが下がる流れのときに、さらに人件費率を下げると会社がつぶれる可能性は高まります。
「わかっているけど人件費を上げることがどうしてもできない」としか判断できない状態になったとき、それは事業所運営が詰んでいる状態ということかと思います。
ここで無邪気に考えてみます。
赤字事業所が人件費率を上げると黒字になる可能性が高くなることがある
繰り返しになりますが、ドライバー不足により稼働率が低迷し売上げが下がりつつあるときに、さらに人件費率を下げると会社をつぶす可能性を高めます。
「わかっているけど人件費を上げることがどうしてもできない」としか判断できない状態になったときに、冷静になって「どうしたら人件費を上げることができるのか」を考えてみることが重要です。
「人件比率」を「人件費」と置き換えて考えると、人件費は上げても赤字になるとは限りません。人件費を上げて売上も上げれば良いわけです。そうなると人件比率が変わらず黒字化、状況によっては人件費率や労働分配率が上がっても黒字化する可能性もあります。
指標として適正な人件費率や労働分配率は、事業所によって違いがあり、常に検討見直ししていく必要があるものですが、先ずは指標出して数字による可視化した目標を立てて活動することです。
ドライバー不足により稼働率が低迷し売上げがないならば、冷静になって考え、人件比率を見直すことです。そのために、勇気を出して今この瞬間の人件費を上げなくてはなりません。
そうすることで、邪悪な呪文のような、ケース1とケース2の会話が激減していくことにつなげていくことができるでしょう。
人件費を上げて売上アップを現実的なものにするために必要なな知識と考え方
人件費を上げて売上アップを現実的なものにするために必要な【知識と考え方】があります。
単純に募集をして人を集め、やみくもに人件費を上げても比例的に人件費率や労働分配率が上がるだけで、さらに利益を圧迫することになります。
【大切な知識と考え方】については次回【なぜ間違いだらけのトラックドライバー募集をするのか(その2)】で。
【なぜ間違いだらけのトラックドライバー募集をするのか(その2)】予告
果てしなく続ける【もぐらたたき】
年がら年中ドライバー不足問題を抱える運送会社には、募集と応募に関する決まり文句があります。
ドライバー不足事業所で使われる邪悪な呪文と果てしなく続けるもぐらたたき
続きは次回で